医療相談

●実施回数 24回+越年越冬期間3回(2021年4月~2022年3月)

●のべ相談者数 1,506人 

●紹介状・意見書発行数 39通

●ボランティア参加人数:医師22人、看護師10人、運営・運搬サポート22人、医学生 大勢

※毎回、医師、看護師、サポート合わせて大体25人くらいのボランティアが参加

●医薬品 寄付されたもの 風邪薬、湿布類、トローチ等

 医薬品購入経費:約71万円(熱中症対策のスポーツドリンク、虫よけスプレー約13万円を含む)

●新型コロナウイルス感染予防キット配布数 17399 セット

予防キット関連資材購入費用:約250万円

◆医療相談会◆

2021年度は、引き続きコロナ禍で常に感染防止に注意を払いながらの活動でした。炊き出しに並ぶ方が500人に迫る中、医療相談会へ訪れる方も増えました。コロナ禍前は毎回30~40人でしたが、2021年度は、平均56人、最も相談者が多かったのは、1月22日の72人でした。医療機関への紹介状や福祉事務所への意見書は合計39通を発行し、過去最多でした。

コロナウイルスの感染拡大で、発熱相談ブースでコロナを疑う症状の方の相談もありました。高熱がある方が相談に訪れ、東京都発熱相談センターから紹介された医療機関を紹介し、コロナ陽性が判明、幸い住まいのある方だったので自宅療養でしたが、その後も医療班で継続フォローし無事に全快されたというケースもありました。住まいのない方は、発熱しても滞在先がなく、検査や受診に繋がるのも遅れる傾向にあり、現状を行政に継続的に訴えてはいますが、改善策は見つかっていません。コロナ禍が続く限り、引き続き行政と協議が必要だと感じています。

それから、2020年4月から新しい試みとして「こころとからだのよろず相談」ブースを設けました。毎回、精神科医を中心とした複数のボランティアがゆっくりお話を伺う活動は、希望者が後を絶たず、17時に始まった相談会が21時過ぎまで続くことも度々ありました。医療費の支払いの不安だったり、医療機関や公的支援窓口でのトラウマ体験を語る方がいたり、インターネットカフェで生活する中で身心共に限界を感じていらしたり、相談内容は様々です。時には生活相談と連携して支援に繋がっていく方もいますが、多くは、繰り返し、ただひたすらお話を伺うことが、その方たちの回復に必要なこともあります。幸い毎回ボランティア参加が多い状況なので、こうした場を設けることができました。

◆コロナ感染予防キット配布

 昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染予防キット(感染予防や相談先を記したチラシ、マスク、手作りマスク、アルコール消毒液、液体石けんやティッシュ、カイロなどをセット)を、炊き出しや夜回りに並ばれた方に手渡しました。お一人お一人に丁寧にお声がけすることで、体調や困り事を伺う、また支援情報をお伝えする機会として役立っています。

炊き出しに並ぶ人が増え、衛生キット作りの作業が膨大になりましたが、毎週の様にピアメンバーやボランティアが作業をしてくれました。

キット作りの場が居場所の役割を担い、仲間との語らいの場にもなっています。

◆住まいのない方のワクチン接種会◆

新型コロナワクチンの接種は、自治体がワクチン接種券を住民票のある住所に送り、予約の手続きは自身でするというものです。しかし路上やインターネットカフェなどの不安定な住まいに暮らす人、非正規滞在や仮放免の外国人は、接種したくても接種券が手に入らなくて、接種するかしないかを選択する権利も奪われているという状況でした。

そこで、5月と7月の炊き出しでアンケートを実施し、600人以上の方の声を聞くことができました。保険証や身分を証明できる書類がないために接種をあきらめてしまっている人もいました。副反応や持病が心配、ワクチンの詳しい情報がないから受けたくない、副作用が出ても保険証もお金もないので病院に行けない、など様々な声が聞かれました。また、もし接種後に発熱した場合に泊まれる場所が用意されるなら受けたいといった路上の方の声もありました。

それらの声をもとに身分証も住民票もない方が受けやすく、負担が最小限になるワクチン接種会の実現を目指しました。豊島区と何度も打合せを重ね、沢山のボランティア、声を上げてくれた当事者の方たち、そして、私たちの声に耳を傾け協働してくれた行政のお陰で、90人近くが予約し、10月末に1回目、11月末に2回目の接種会を終えることができました。

その後も引き続き医療相談会で、住まいの不安定な方へ接種券引換証のお渡しを続けています。 コロナ禍での炊き出し相談会は、毎回緊張を伴うものですが、今年も沢山のボランティアさんに支えられ、休まず活動できたことに感謝する一年でした

この記事を書いた人

武石 晶子

炊き出しで医療相談を担う「ほしぞら医療班」のリーダー。
一般社団法人つくろい東京ファンドに所属。