1.炊き出しに並ぶ人の変化
炊き出しに並ぶ人の増加と変化 ・2ページでも報告しましたが、炊き出しに並ぶ人の増加が止まりません。2020年春にコロナ禍が始まって、200人を超えるようになり、2021年1月に300人、9月には400人を突破。2022年5月に500人を超えました。
・並ぶ人の層も変わりました。
・まず、女性が増えました。昔はいなかった若い女性が目立つようになりました。
炊き出しを取材した朝日新聞の記事では、「都内の焼き肉店で働いていた26歳の女性が、コロナ禍で収入が6~8万にまで減り、1年前から毎回炊き出しに並んでいる」ことが報じられました。
・20~30代とみえる方がスマホ片手に並ぶのは当たり前になりました。
NHKの「目撃にっぽん 私が炊き出しに並ぶ理由」では、発達障害で失業した若い男性が、炊き出しを「自分のようにはじかれた人の存在が肯定される場」と語っていました。
・コロナ禍で仕事も居場所も失った人が生きるために炊き出しに集まっていると思います。
2.お弁当配布
・てのはし自慢だった手作りの「ぶっかけ(汁かけ)飯」は、調理場も食べる公園も密になるので中止し、2020年春から持ち帰り弁当に切り替えました。・お弁当は2020年夏から「つるや庚申塚店」に発注しています。精米したての大盛りご飯と、ボリュームたっぷりのおかずはお腹も心も満たす力があります。個人経営の小さなお弁当屋さんですが最初は250食、最近では500食を超えるお弁当を廉価で提供してくださっています。
・パルシステムが毎回パンや果物を無償で提供してくださっています。
・その他、大塚モスクからのビリヤニや各地から寄付されたアルファ米などの保存食、飲み物も配るので、炊き出しでは、お弁当とパンや飲み物の2つの袋を持ち帰って頂いています。
3.配食方法の変更
炊き出しに来た人が密にならないよう、またできるだけ滞在時間を短縮できるよう工夫を重ねてきました。
・並ぶ間隔をあけるために地面に割り箸を貼り付けて目印にしています。
・整然と並んでもらう・割り込みやトラブルを防ぐ・スムーズに移動してもらうために整理誘導班を組織しました。お弁当を公園で食べると密になるので、食べはじめる人に注意する役割もあります。
・弁当・パンその他の食品はあらかじめスタッフで袋詰めてから渡しています。これで500人がきても30分で配布を終了できるようになりました。
4.並べない人コーナー・入り口案内係の設置と「気まぐれchunta通信」
「暗い公園で男性ばかりの列に並ぶのが怖くて、並ぶのをあきらめたことがある」という女性の声を聞いてこの春から設置しました。
・並べない人コーナーには椅子を置いて明るくし、並ぶのが怖い人・立って並ぶのが身体的に難しい人に利用していただく。*先にもらえると勘違いされないよう配布のタイミングは微妙に調整。
・案内係は公園入り口に「TENOHASIの炊き出しへようこそ」という看板をおいて、並ぶかどうかためらっている人に声をかけて案内します。
「並ぶのをあきらめたことがある」ことを教えてくれた当事者女性が、並ぶ人へのメッセージと季節の便りを載せた「気まぐれchunta通信」を制作してくれるようになり、「池袋炊き出し情報」と両面刷りにして配布。くわしい経緯は「ちゅんたの想い」をお読みください。
5.衣類配布
・利用者が公園に滞留する時間を短縮するために、衣類配布は炊き出しと分離して第一土曜日の午前中に配布しています。毎回120人前後が並ばれます。
・衣類は短時間で選べるようあらかじめお寺で種類とサイズごとに仕分けし、テーブルに整然と並べます。
・女性が増えたので、女性コーナーを設置しました。
・石けん・カミソリ・タオルなどのアメニティ類も配ります。
・賞味期限切れの保存食(乾パン・アルファ米など)は炊き出しでは配れないので、「期限切れですがよかったどうぞ」と声をかけながら配ってます。中には乾パンを箱単位で持ち帰る人も。
6.運営体制
・配食・整理誘導などのセクションのリーダーで、炊き出しの運営を担う「炊き出し運営グループ」(現在13人)を組織し、毎回の準備・実施・反省を行っています。ここから様々なアイデアが提案されて、手ごたえを感じています。
・炊き出しボランティアが登録するライングループは現在約130人が参加。
・1回の炊き出しを行うのに必要なスタッフは約40人。様々な役割を分担するので綿密な計画が必要です。ラインで参加スタッフを募集し、事務局でシフト原案を作成。炊き出し運営グループーで検討し、参加者に連絡します。
・初参加者は1回6人を目安に募集。学生の体験学習的な参加も受け入れています。
7.課題
・いつになれば人数が減少に転じるのか? 500人を超えると列が公園の外にに出てしまいます・・・。