コロナ禍での炊き出し活動報告

ご存じのとおり、てのはしでは 2020年2月の第4週まで通常の炊き出しを実施していました。私は2019年1月からドライバーとして参加していましたが、コロナ対策体制をとる現在は、LINEグループでのスタッフ配置・各班の調整および取りまとめ、関係団体との連絡、終了後のFacebookでの情報発信等のお手伝いをさせていただいています。
2020年3月14日から始まったコロナ対策としての公園でのお弁当配布は2021年11月
27日で45回目を数え、並ばれた方は450食用意したお弁当を上回る472名で、2009年のリーマンショック時の最高記録を更新しました(ちょうど1年前の2020年11月28日は293食でした。2ページのグラフをご覧ください)
なんと今や、公園内では人が収まらず、歩道まで並んでいただいている状況となっています。
並ぶ方も一見綺麗な身なりの方や、以前では考えられなかった若い女性、中にはお子さんを連れた方もいらっしゃいます。
東京オリンピック終了とともにデルタ株の感染が増加し、スタッフと並ぶ方の安全のため9月には配食と衣類配布を同日に実施することを断念、衣類配布をすべきかどうかスタッフで議論し炊き出しとは別日に実施する等、様々な対策を重ねてきました。
そして緊急事態宣言4回目のさなかの第5波の後、感染者数が急減し少し気を緩めたところで「オミクロン株」の発生。今後も気が抜けない状況です。


今のLINEグループスタッフはほとんどが昔の「ぶっかけ飯」を知らない人の集まりとなっています。
ぶっかけを作っていた頃、調理の際のベテランのおばさんとのおしゃべりや、まかないをとりながらの交流、公園での当事者同士の団欒(コーヒーサービスや「ほっとも」)も継続して中止。そして何よりも、ほかほかのご飯にかける、野菜をたっぷり使ったぶっかけ汁。これらが、遠い昔のように思えます。
しかし、第2,第4土曜日に東池袋中央公園に行けば、衣服と食事と生活相談、医療相談、そして清野さんがいる。それは変わっていません。コロナ禍も悪いことばかりではなく、てのはしも新しい時代の風を取り込みました。以下はこれまでに重ねた工夫です。
・LINEグループ(約110人)により情報を共有・マニュアル化し、毎回事前に配置を決め各班が動く事により配布を極めてスムーズに実施
・オンラインによるメンバー間の会議(総会もオンラインで実施)
・スタッフ間の仕事・配置の見える化や、名札の導入による顔と名前の見える化
・パルシステムとの協力体制によるパン、バナナ、トマト等の配布(400人分の提供)
・他団体(新宿ごはんプラス)との情報交換・配布手法の取入れ
・雑踏警備の経験スタッフによる整理誘導手法・資材の取入れ
(トランシーバー10台を使用し各班で連携を取っています)


・並ぶ方の利便性の向上のため以下を実施
①約50分かかっていた配食を、配るものはあらかじめ全てを袋詰めし準備、配布は2列にすることにより、約30分に短縮
②医療相談、生活相談、針きゅうで相談中でもスタッフが弁当を確保、バックヤードでの弁当数の把握
③歩行困難な人が並ばなくてもいいように、トイレ前に専用コーナーを設置
④衣類配布(現時点180名が並んでいます)の時短のため配布テーブルを2列にし種類別に先頭でヒアリングした上で案内
(以前は周回していましたが、人数が多くできないことから複数点を一度に配布)
⑤アメニティコーナーを充実させ、靴下、タオル、石鹸等を全員に配布
⑥女性の増加に伴い衣類配布に女性物専用コーナーを設置
⑦緊急用衣料セットを常備し、生活相談等で真に衣類を必要としている方に対応
⑧SNSを活用した情報発信とAmazon欲しいものリストの作成により、リアルタイムで寝袋や下着等の必要なものを募集


中止していた初参加者募集もホームページからの応募で人数を絞った上で行い、継続していただける方にはLINEグループに入っていただいています。
1度に450食のお弁当を用意することには、20万円を越えるコストがかかっています。
お弁当をもっと質素なものにすることも出来るでしょう。しかしコロナ禍で職を失い「3日ぶりの食事です」等の声を聞くと、大盛りのおいしいお弁当を出してあげたい、と清野さんは言います。
これらの活動が出来るのは会員の皆様のご寄付のおかげです。皆様からのご支援により、今後もてのはしは炊き出しを継続していきます。
コロナ禍が完全に収束し、1人のドライバーとして参加できる日まで、この体制をお手伝いしたいと思っています。

この記事を書いた人

大塚 教徳