シェルターは支援のおまけがついてくる

「シェルターって何ですか?」という質問を受けることがあります。ハウジングファーストの理念「=まず安心できる住まいを提供する」を具体化したものなのですが、どうも施設的なものを想像する方が多いようなので、TENOHASIのシェルターと実際にシェルターを利用された方への支援についてお伝えしたいと思います。

 簡単に言うとシェルターは家財道具付きのアパートであり、路上で生活されている方等、住まいがない方が入居と同時に生活できるようになっています。トイレ・風呂(一部シャワー)付きのの部屋に寝具、エアコン、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、調理道具等の他洗剤からタオルまで用意してあります。一般のアパートと違うところはシェルターには期限があるということで、原則4ヶ月のうちにご自分名義のアパートに転宅して頂くということになっています。そして、週に1度ほど訪問して必要なお手伝いをしています。

 シェルターに入居されると、まず、つくろい東京ファンドと契約を交わし、生活保護の申請をして頂くことになります。もちろん申請に当たってはTENOHASIのスタッフが同行します。支給される生活保護費から家賃と共益費を頂きますが、残りはすべて利用者さんの手元に残ります。以下、実際にシェルターを利用されたAさんの場合を例に、どんな支援をしているか、ご紹介したいと思います。

 Aさんは路上生活が長かったので、まずは住民登録に必要な戸籍をAさんの記憶を手がかりに福祉事務所に探してもらいました。戸籍謄本・附票の請求のお手伝いをし、住民登録することができました。次は身分証明書としてのマイナンバーカードを作ることになりますが、必要書類の記入、写真撮影、申請のお手伝いをし、こちらも無事クリアしました。ゆうちょ銀行の口座とともに、暗証番号まで私に決めろと言われたのにはビックリですが…。そうそう、今年は新型コロナワクチン接種の予約・同行というのもありました。

 ここまでも高齢のAさんには煩わしい手続きの連続で、大変だったと思いますが、さらに携帯電話の購入という難題が待ち構えていました。何を隠そう担当の私がIT弱者で、どんな電話がいいか、私に設定ができるのか、途方に暮れている状態だったのですが、Aさんには強力な助っ人(Bさんと呼びます)が存在していました。Bさんは3年半ほど前から継続的にAさんを支援してこられた方で、スマホ購入に同行、設定、何時間も掛けて使い方の説明をしてくださったうえ、Aさん用の説明書まで作ってくださいました。お陰さまで、Aさんと電話連絡ができるようになり、とても感謝しています。(*他のスタッフは頼りになりますし、携帯の貸し出しもできます)

 そして念願のアパート転宅の準備に入りました。福祉事務所からは地域定着支援員さんをつけていただき、不動産屋で物件を探したのですが、高齢ということがネックで時間はかかったものの、CWのOKが出、契約に漕ぎつけることができました。並行して、リサイクルショップに同行し、家具・什器類も用意しました。電気・ガス・水道の手続きのお手伝いもし、引っ越し荷物の運搬は事務局長が引き受けてくれました。

 Aさん本当にお疲れさまでした。新居でゆっくりお正月を過ごしてくださいね。

この記事を書いた人

高橋 秀子

生活相談員。
豊島区で学習支援にも取り組む。