Aさんは30代後半。もとは正規の仕事をされていたが、友人の借金の保証人になって職を失い、日雇い派遣でネカフェ生活になられた。
そして、この前の越年越冬活動(年末年始の炊き出し)に「年末に仕事が切れてネカフェ代がなくなった」と相談に来られたので、アンブレラ基金で年明けまで支援させていただいた。
そのAさんが、このコロナ不況下でどうされているかと思って、電話してみた。
*A:Aさん T:TENOHASI
T:お久しぶりです。世間はコロナで大変ですが、Aさんはどうですか?
A:大変です。ついこの前も野宿しました。
T:え?お仕事は日雇いとはいえ、いろいろやってましたよね。
A:それが、みんななくなりました。
今継続しているのは虎ノ門のビルの工事現場だけです。
T:イベント関係の、テキ屋さんの手伝いもやってましたよね。
A:はい。「花見の時には頼むよ」と言われてました。でも、花見が全部なくなって。
T:あ、そうですよね。でも、メインの仕事は建設でしたよね。
A:はい、現場管理とかの資格もあるので、仕事はそこそこあったんです。
でもコロナになって全部だめになってきました。
建設現場の材料は中国製が多いんです。コロナになってから材料の入荷まで一か月待ちとか。現場がストップして仕事が一気になくなったんです。あっても週に1回とか。
これで非常事態宣言がでたら、かろうじて続いてる現場もストップでしょう。
T:作りかけのビルとかが放置されるってことですか?
A:はい。だから頼りは虎ノ門の仕事だけで。仕事のある土日は虎ノ門まで歩いて2時間かけて往復しています。
T:それは想像以上のピンチですね。どうされますか?
A:仕事を探しています。面接は10件以上行きました。でもどこもダメ。
T:この不況ではどこも雇ってくれないですよ。
A:でも、あきらめたくない。
T:今夜のネカフェ代はあるんですか?
A:いま、所持金は2000円。ネカフェ代1500円だけ確保して、食事はネカフェの無料のソフトクリームだけとか、カップ麺1日一個とかですませるようにしています。
今使ってるネカフェは安いのがいいんですが、シャワーが別料金なのでシャワーが浴びられない。
洗濯も量が多くて1回1000円とかかかっちゃうから、できない。
だから、今、すごく臭いんです。
ネカフェに同じような人がたくさんいます。くさい。
ダニがいる人もいる。この前泊まったら、背中が食われて大変だった。
僕は喘息持ちなので薬が必要だけど、買えない。アスクロンというんだけど、買うと2000円位する
T:あらら、これでコロナにかかったら大変じゃないですか。
A:池袋の炊き出しの医療相談でT先生が渡してくれたのが最後。
T先生は「僕の病院に来てくれたらいつでも上げる」と言ってくれたんです。でも申し訳なくて行けない。
T:生活保護受けませんか?
A:保護を受けたら集団生活でしょ。ホームレスの人たちと。怖くて行けないです。
死んだ父親も東京で仕事をしていた時にホームレスの人と知り合いになった話をしていたんです。
「すごくいい人もいるんだけど、そうでない人もいて、アルミ缶回収の縄張りを侵しただけで殺されそうになった人もいた」って聞いてます。
この前も公園で2日野宿したけれど、ホームレスの人に近づかないように木の陰とかで寝てました。
でも、あきらめたくない。かならず仕事を探します。
T:明日、事務所に来てくれればお風呂も洗濯もできますよ。昼頃とかどうですか?
A:ありがとうございます。でも、明日も面接を予約してるんです。池袋と、代々木と。
T:代々木?歩きで行くんですか?
A:はい。だから夕方にならないといけないんですけど、迷惑じゃないですか?
T:迷惑なんて言ったら罰が当たります。必ず来てください。待ってます。
ところで、今聞いた話をネットにあげてもいいですか?
A:もちろんです。同じような人がたくさんいるんです。ぜひ世の中の人に伝えてください。