ボランティア体験記③【撤収・片付け編】

■来た時よりもキレイに

路上生活者の方々がお帰りになると、すぐに公園の後片付けが始まります。ため息をついている暇はありません。それぞれの持ち場で、テント、椅子やテーブルをたたみ、空容器と割りばしをまとめ、ごみを分別し、すべての物資をトラックに積み込みます。そして使わせていただいた公園をきれいにお掃除するのです。私たちが落としたごみ以外だってもちろん拾います。来た時よりキレイにして帰るのがTENOHASIさんのポリシーだそうです。山登りが好きな私にはとてもよく理解できました。

■複雑な気持ちの報告会

片付けの後はボランティアスタッフが輪になって集まり、報告会が始まります。参加したボランティアの皆さんのお顔を拝見すると、学生さんなのでしょうか、若い方が多いですね。お母さんと子供たちと思われる方もいらっしゃいました。朝から一緒に調理をした面々も。

報告会は、今日の活動の成果と、私たちが暮らす豊かな国が抱える社会問題の一端を垣間見る時間となりました。炊き出しに並ばれた路上生活者の方197名・ボランティア参加者65名、配食数414食、生活相談4件、医療相談6件。勤めていた会社が倒産して就職先が見つからずここに辿りついた路上生活者方には就職面接に同行し、生活保護申請を希望する方にも同行者が付き添うそうです。慢性的な高血圧症の方には医師が紹介状を出したとのこと。

名前も顔も知らない人たちと一つのことを成し遂げた達成感を感じる一方で、ちょっぴり複雑な気持ちになりました。今日来てくれた方々はほんの一部だろう。路上生活予備軍だって何人いるか想像もつかない。本当にこの方々の助けになっているのか。果たして問題の解決につながっているのだろうか。自分だってそうなる可能性はゼロではない。そうなったら自分はどうやって生きてゆくのか。

路上生活者の方々が抱える悩みや希望はその日その時、人それぞれで違うでしょう。でもここに来れば、お腹いっぱい食べられる、相談に乗ってもらえる、薬がもらえる、助けてもらえる。そのことを決して忘れないでほしい。そして私たちはその場所を提供し、寄り添っていくのです。それは、助けを求めて辿りついた方を、行政や他団体と協力・連携して普通の生活に戻れるよう支援することができる。ここは、自立につながる最初の一歩。出発点なのです。

一日のボランティア経験で気づいた大切なことがあります。「行動を起こせば見えない世界が見えてくる」。とても単純なことですが、今までそれができていなかったのです。

さて、報告会の最後は想定どおり募金タイム。ささやかながら、今日の気づきと、おいしい食事のお礼を込めて寄付をさせていただきました。

■まだまだ終わらない

さあ、最後のお仕事が待っています。本日大活躍した食品用クーラーボックスと食器類の洗いです。こちらも立候補した若干名のスタッフで行います。トラックとタクシーに分乗して調理場に戻ったのは8人。時計は1930分を過ぎたあたり。片づけに利用する洗い場は、昼間と同じ調理場です。場所を提供していただいている方の更なるご厚意で、お湯が使えるので、油汚れが楽に落とせてとても助かります。それに手も冷たくありません。きれいに洗いあがったクーラーボックスの山を見て、今日の活動がとても充実したものだったと振り返り、大きな達成感を味わうことができました。最後に善意で調理場をご提供くださっている家主さんに挨拶をしてそれぞれが家路につきました。わたしには帰る家があって、待っている家族がいる。普段は見過ごしてしまいそうな日常がなんて幸せなことなんだと、しみじみ感じました。そして毎月第24土曜の2回、どんな日も欠かさずに炊き出しを行うTENOHASIさんと、それを支えるボランティアの皆さんの献身的で責任ある行動に脱帽するのであります。

鼻息を荒くして「社会福祉のために!」なんて思わなくても構いません。なんか寂しくなったり、息苦しさを感じたりしたら、TENOHASIさんのボランティアに参加
してみるとよいでしょう。人を元気にできるだけでなく、きっとあなたも元気になれると思います。

TENOHASIさんでは炊き出し片付けボランティアを募集中!

http://tenohasi.org/volunteer/information/#bosyu13

わたしが感じた特典

・片付けだけだとつまらないと思います

・ぜひ、調理からご参加してみてください。きっと良いことがあります

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