ボランティア体験記①【調理編】

わたしは今年52歳になるサラリーマンです。ボランティアに興味を持ったことはありませんし、参加した事などもちろんありません。せいぜいコンビニの釣り銭を募金箱に入れるくらいです。そんなわたしが炊き出しボランティアに参加したきっかけ。それは「居場所探し」です。仕事が上手く行かず、明るい将来が描けずに自己否定してしまう自分をどうにかしたかったのです。ココロが弱っていたのですね。

■身近に感じたTENOHASIさん

TENOHASIさんを選んだ理由。それは、単なる炊き出しでご飯を食べてもらうだけではなく、そこをきっかけに、医療や生活保護、自立に向けた支援につなげる活動をしているからです。雨の日も、雪の日も、月に2回の炊き出しを欠かさず実行してきたポリシーに動かされました。それから事務局長理事の清野さんが父親と同じ中学校教師であったこと、わたしと年齢がちかいこと、定年を待たずに退職してTENOHASIの運営に尽力する行動力にも魅力を感じました。少年時代を過ごした北海道浦河町の「浦河べてるの家」とも繋がりがあると知り、何かの縁を感じたことも理由の一つです。ボランティアに参加する理由は人それぞれでしょうが、今回、TENOHASIさんのボランティアに参加して感じたこと、思ったことを体験談として綴ろうと思います。

<①調理編>

■ホームページから申し込み

最初にTENOHASIさんのホームページから調理ボランティアに申し込みます。申し込みフォームに氏名、メールアドレス、備考欄に「224日の調理ボランティアに参加を希望します」と書いて「送信」ボタンをポッチっと。その日の深夜に事務局から、日時、集合場所、最寄り駅からの所要時間、作業内容と持ち物が記載された丁寧なお返事メールが届きました。でもここで油断してはいけません。行ったこともない場所で会ったこともない人達と料理を作るのですから。包丁さばきの達人、炊飯名人、強面の監督官が睨みをきかせているかもしれません。「リンゴでうさぎちゃんを作れるだけではたぶんダメだ・・・」弱ったココロをなんとか奮い立たせ、頭にかぶる日本手ぬぐい、マスク、ゴム手袋、ウィンドブレーカーなどをザックに詰めて準備完了です。

■沿線つながりで溶け込む

いよいよ当日。電車に小一時間揺られて集合場所に到着。時刻は朝の1050分。すでにメンバーの大半は集まっているようでした。「鬼の監督官は誰だろう」、「包丁の達人はこの人かな」と想像が先走り、なんだか緊張してきます。

そんなとき「今日は中央線がね・・・」。同じボランティアスタッフの奥様方の会話が耳に入ってきました。この機会を逸してはいけません。まずは溶け込むのです。「中央線ですか。僕もです。駅はどちらですか?」「えっ、国立!?」聞いてみるものですね。なんと同じ駅。するともう一人「私も同じ」。さらに「私は武蔵小金井」。あっという間に中央線の会が誕生です。TENOHASIさんの調理現場は、アットホームな雰囲気でとても安心できる場所だったんです。

■調理開始

作業開始前のミーティングに参加したのはわたしを含め22人。役割は「食品運搬コンテナの洗浄」、「お米とぎ」、「野菜の皮むき&野菜切り」の3つです。どの担当になるかは基本的に挙手による立候補制ですが、リーダー的な方の指揮のもと、各担当がスムーズに決定しました。ここでの注意事項は2つあります。①食中毒防止のための手洗いとアルコールによる消毒をこまめに行うこと②包丁でケガをしないこと(これは3回も繰り返していました)。万が一のため、ボランティア保険に加入しておくという手もあるそうです。

さて、いよいよ調理開始です。まずトラックから食材を下ろします。白菜、キャベツ、玉ねぎ、人参、れんこん、ブロッコリーなど新鮮で立派な野菜がたくさん。これに鶏肉を加えてお味噌仕立ての野菜スープを作ります。ご寄付でいただいたお米は約60キロ!炊飯係の方曰く、「今日はナナカマだね
」。これは「今日は8リットル炊きのお釜で7回ご飯を炊くよ」という意味だそうです。すごい量ですね。

わたしは洗浄係に立候補したので、調理場外の洗い場でたくさんの大きなクーラーボックスを綺麗に洗いました。これも食中毒防止のため念入りに。2月としては日差しもあって温かく、顔にかかる水しぶきが気持ちよかったです。

洗浄作業が終わり、調理場に戻ると、調理場では10人がかりで大量の野菜切りの真っ最中でした。すでに定員いっぱいで僕の出番はなさそう。手持無沙汰にしていると本日結成した中央線の会のKさんに野菜切りの権利を譲っていただきました。チームワークでどんどん野菜を切り刻み、一時間少々で巨大なクーラーボックス何杯分もの野菜を切ることができました。一人では何時間もかかることでも、チームや仲間と一緒なら簡単にやり遂げられるのだと実感しました。(会社では押し付け合いが多いからなおさら感動です)

■感動のまかない

時刻はお昼を過ぎてお腹が空いてくるころ。絶妙なタイミングでまかないの案内がありました。本日のメニューは、「白飯、焼きそば、カレー、大根の煮物、紅ショウガ、きざみのり、生卵、納豆」。トッピングは自由です。是非お試しいただきたいのは、「焼きそばオンザライス生卵添え・気ままに納豆も」。これがなんとも言えず美味なのです。美味しい食卓には笑顔の花が咲き、食後のお菓子やコーヒーも頂きながら会話が弾みます。ここでもやっぱりアットホーム(ひょっとしたら我が家よりも)なんです。参加してよかったなと心底思いました。

みんなでワイワイまかないを頂いている間に、炊き出し用のご飯はふっくらつやつやに炊きあがりました。美味しく炊きあがったご飯と、共に完成した今夜のベストパートナーとなる野菜たっぷり栄養満点スープは、食品用クーラーボックスに入れ、楽しみに待ってくださっている方々のもとへと届けます。どちらも炊飯のプロ、煮込みのプロが心を込めて作ってくれます。ごはんを作っておいしく食べてもらう。それだけのことですが、とても大切な繋がりなんだろうな。きっと。

次回<②運搬・配食編>に続きます。

TENOHASIさんでは調理ボランティアを募集中!

http://tenohasi.org/volunteer/information/#bosyu11

わたしが感じた特典

・包丁さばきが上手になります(野菜限定)

・ダイナミックな調理を経験できます

・美味しいまかないが食べられます

・運が良ければ中央線の会に入れます

・居心地が良いです

この記事を書いた人

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