9月15日のシンポジウム報告

豊島区の5つの団体が集まった「知ってほしい私たちのこと パート2」を無事終えることが出来ました。
心配された入場者集は、てのはし関係者が8人、全体では約70人で、まずまずの数。
質疑応答も盛り上がり、とてもいい会になりました。

最初の各団体アピールで、私はこんな話をしました。
「障害児のボランティアをしていると言えば、たいていの人はえらいですねと言ってくれるでしょう。
でもこれが、ホームレスの方々の支援活動をしていますというと反応はかなり微妙になります。
時には怒られることもあります。「何であんな連中を助けるんですか!あいつらは働けるのに働かない怠け者ですよ。それを助けるなんて、あなたはあいつらをただ甘やかしているだけだということがわからないんですか」という感じで。

でも、ホームレスはみんな「怠け者」なのでしょうか。
私の答えは、一言「人による」です。
あなたのまわりには、まじめな人やひょうきんな人や底意地の悪い人などさまざまな人がいるように、路上生活者の中にもさまざまな人がいて、それは一般の社会と全く同じです。

 たとえば、家庭が崩壊して、高校生の時から生活費を自分で稼がなくてはならず、バイトに追われているうちに歳を取り、バイトもなくなって路上に出た人がいます(NHKスペシャル「ワーキングプア1」より)。
 アルミ缶を拾っているTさんは、先週の嵐の夜も徹夜で町を歩いて缶を集めていたそうです。この人はそのまま寝ないで炊き出しの準備に来るので、ものすごく早くから南公園で活動を開始している。おかげで集合は9時なのに、8時にいったら「遅い」と怒られる羽目になります。
 雑誌を集めているYさんは、むかし組合のレク担当だった経験を生かして、お茶会のレクを担当してくれています。そういうときは1ヶ月も前から「次は何しよう」と悩んで、捕まると延々と相談を受ける羽目になります。

こういう人を怠け者と言うでしょうか?
ホームレスというのはその人の一時的な状態で、誰もホームレスとして生まれるわけではありません。また怠け者だったからホームレスになったわけでもありません。
路上に出たきっかけを調べると、失業や病気や借金の他、知的障害や精神的な障害・DV・・・・・人それぞれ全部違います。
知人の保証人となって借金を負い、自己破産してしまえばいいのに、全財産を支払いに充てて路上生活になり、足りない分を今も働いて返していると言う人もいます。この人はまじめすぎるために路上にいます。
だから必要な支援も人によって全部違うのです。
そういうことを何も知らないのに、ただ見た目の印象だけで全部が「怠け者」であると決めつけてしまうこと、これこそが差別の本体だと思います・・・」

ブースに別れての説明では、、私と医療班のT君から池袋の路上生活者の現状について思いつくままに話していたら、tenohasiの前に人だかりが出来ました。

最後の質疑応答の時間では、「ボランティアに興味があるが踏み切れない。日進月歩の業界に身を置いていると、一度こっちの世界に来たらもう戻れない気がする」という、ゲーム業界で働く男性の発言をきっかけに話が盛り上がりました。
仕事や家庭で忙しい人が、ボランティアが出来るのはなぜでしょうか?
または、みんな何を求めてボランティアに参加しているのでしょうか?
そしてボランティアに参加する人が今も圧倒的少数派であるはなぜでしょうか?
みんなそれぞれ自分の中に問いを残して帰ったことと思います。

by s

 

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