「ホームレスの方の支援」というと、どんなことを思い浮かべますか?
一番多いのは「炊き出し」の風景ではないでしょうか。
私もそうだったのですが、tenohasiの活動に参加し、炊き出しだけではない様々な支援があり、それを支えてくださるたくさんの方の協力があることを知りました。
6月26日(土)、炊き出しの日(tenohasiの炊き出し活動は毎月第2、第4土曜日)。炊き出しと言っても、いきなり会場の公園に行ってご飯を配るだけではありません。配食、衣類配布、医療相談、生活支援相談など、1日の中で様々な活動・支援を行います。
まずは「衣類配布」の準備のため、場所を提供してくださっているお寺の敷地内で衣類の仕分けを行います。この衣類や、マスク、歯ブラシ等のアメニティは、ホームレスの方の命、安全、暮らしを支える大切なひと品です。これらは全国から寄付いただいたものが大半で、中には「少しでも役に立てれば」というメッセージを添えて送ってくださる方もいます。膨大な量の衣類や靴、カバン、アメニティを種類別に仕分けていくのもボランティアの仕事です。
仕分けた衣類をトラックに積んで、会場の公園へ。公園では別チームがすでに並んでいる方の整理誘導に当たっています。トラックから荷下ろし、リーダーと相談しながら、ボランティアのメンバーが衣類を並べていき、配布が始まると並ばれた方に希望するものを順次選んでいってもらいます(毎回早く無くなるのは「靴」です)。今、衣類配布に並ぶのは大体200人弱。その中には女性もいます。女性用の衣類やアメニティは男性用のご寄付のものに比べると数は少ないのですが大切なアイテムです。
衣類配布の後は「配食」の準備。パンや飲み物、果物、お弁当(この日は「大塚モスク」さんの美味しいカレー)を配置。これも、日中からボランティアメンバーが各地からピックアップに回ったり、仕分けて袋詰めをしたりと、実はかなりの作業量です。
配食が終わって片づけて反省会、解散となります。配食品のピックアップや衣類の仕分けからとなると、ほぼ丸一日です。
活動に参加するようになってわかったのですが、この1日のためにボランティアのリーダーは打ち合わせを何度も重ね、よりよい活動ができるように新しいやり方を検討しトライを繰り返しています。ボランティアのメンバーも、当日ただ指示を待っているだけの人はなく、割り振られたポジションの中で自分ができることを見つけて積極的に動いている人が多いです。ふさわしい表現でなく語弊があるかもしれませんが、私はこの時間をとても楽しく感じています。同じ目的のために全員が行動している、とても意義のある1日だと思います。
ちなみに、配食が終わってボランティアは解散しますが、その後も生活相談は遅くまで続きます。生活保護申請などの希望があれば後日それに付き添ったり、シェルターへの入居希望があればフォローを続けたりと、支援は決して1日で終わってはいないのです。
tenohasiの活動は、衣類・食品を寄付くださる方をはじめたくさんの方々に支えられ、それを実行に移すボランティアメンバー、まとめるリーダーの存在があって初めて形になると私は感じています。tenohasiの活動から学ぶことも多いです。ボランティアを始めるきっかけや理由は、社会のために、困っている人のためにという確固たるものがなくとも、「何かをやってみたい」と思うだけで十分。まずは行動に移してみるのが大切です。これからも、まずは自分ができることに取り組んで、ひいてはそれが社会のちょっとした役に立てば嬉しいなと思いながら活動していきたいなと思います。
ボランティアA