5月22日 炊き出しボランティア日記

  今回が初めてのボランティア活動でした。以前から社会問題に関心があり、その一つである生活困窮者への支援について、ニュースや記事を読む度に実際に何かしたい気持ちを感じていました。けれど実際に活動することを考えてみると私の中ではかなりハードルが高く、行動に移せない期間が長くありました。それは誰かを助けられるほどの気持ちの余裕がなかったからです。振り返ってみると、学生時代も社会人として働き始めてからも社会生活上で悩むことが多く、自分の中を安定させることで精一杯でした。ただ幸運だったことに経済的に自立していて、家族との繋がりもあったため、だんだんと悩みが薄くなっていき、最近では自分の中で消化することができた気がしていました。そんな折、コロナ禍によって家や仕事を失う人が増え、そういった人々への支援活動も制限を受けていることを知り、一気に気持ちが傾きました。そうして今回、ボランティアに参加しました。
 当日は昼過ぎに作業所に集合し、ボランティア同士で簡単な自己紹介の後、TENOHASIの活動理念など含め路上生活者支援に関するレクチャーを受けました。レクチャーを聞いて、「一人一人に寄り添う支援」を理念としていることを理解しました。同時にその理念を実行することが非常に難しいことも感じていました。レクチャーの中で路上生活者の人々が抱える問題を改めて列挙されてみると、過去の虐待や障害など、どの問題も複雑で、同時に個人的な問題でもありました。これらを踏まえた丁寧な支援を目指しているわけですが、その問題がその人の人生と切っても切り離せないものである以上、路上生活を脱するために適切な援助をするにはその人のこれまでの人生と向き合うことが必要なのだと感じました。この時には、路上生活者の人々、一人一人が生きてきた長い長い時間を辿って理解した先に、本当に必要な支援が見つかるイメージを持ち、一瞬ですが気が遠くなってしまいました。この活動に携わっている方々に対して頭が下がる思いもしました。

 レクチャーを受けた後、支援を行う公園に移動し、配布エリアの設営、物資の配布作業にあたりました。日用品の配布エリアの設営中、予報外れの雨にざーっと降られましたが、しばらくしたら雨も止んで安心しました。エリアの設営中は周りのスタッフの雰囲気を感じ取りながらとにかくてきぱき動くように心掛けました。実際に支援物資を配布する段になっては、失礼がないように、また気の緩みからぞんざいな態度をとってしまうことが無いよう注意しながら、並んでいた方々に接しました。

  今回支援に参加することで、生活困窮者と支援の実際を自分の目で見て確かめたいという思いが実現しました。参加前は自分にボランティアが務まるのかと不安と緊張がありましたが、現場では他スタッフからの指示のおかげで粗相なく作業を進めることができたと思います。今思えば、そこまで気負わずに参加しても良かったのかもと感じます。報道を見るだけ、ネットで問題について知るだけではなく、実際にその場に居て、動いてみることで認識が改まったり、現実感が増して問題が内在化できたりすることを実感しました。

 帰り道、足が結構疲れていることに気付きました。物資の仕分け作業まで含めれば朝から晩までかかるこの支援を隔週で続けることは、私よりも随分タフと思われる中心スタッフの方々と言えど、体力的にも精神的にもそれなりの大仕事だと思われました。

  中心スタッフの方々はじめ、関わられた皆様、どうもありがとうございました。

築地 球太


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