11月14日 炊き出しボランティア日記

同じ国、同じ都市に暮らしていながら、知っているようで知らないことがたくさんあります。生活困窮者の実状もその一つかもしれません。TENOHASI炊き出しボランティアに初参加させていただき、メディア情報の断片を通じてのみ社会を覗き見るのではなく、自分の目で見ること、聞くこと、感じること、そして考えることが大切だということを実感しました。
東池袋中央公園は、サンシャイン60に隣接している、こじんまりとした整備の行き届いた公園です。この日は260人を超える人たちが衣類やお弁当を受け取りに集まりました。スタッフの方の案内に従って、公園の縁に沿ってぐるりと、3密を避けて間隔をとりながら整然と列に並んでいらっしゃいました。
衣類やマスクなどのアメニティの配布は夕方4時から5時頃まで、お弁当の配布は6時から7時頃までで、配布の時間が近づくと、参加の列がどんどんと伸びていきます。衣類の支援では、冬に備えた暖かいコート類やズボン、消耗品である靴を希望する方が多いようでした。また、Amazonの「欲しいものリスト」経由で寄付された寝袋が抽選で配られました。食事の配布では、唐揚げのお弁当のほか、食パン・菓子パン、α米、みかん・バナナの企業支援も一緒に提供されました。
ベテランのボランティア・スタッフさんたちが、支援を求めて集まった方々の人数に応じて臨機応変に配布の個数やタイミングを決めていきます。そして、参加スタッフ全員にその場ですべての情報を共有し、明確な指示とともに連携をとっていたことが大変印象的でした。また、初参加者がオロオロしないようにと、みなさんがオープン・マインドで接してくださったことに感謝しています。
物資や食事の配布を求めて集まった方々のほとんどは、生活困窮者とは言え、周囲の理解とわずかな支援さえがあれば置かれた現状を変えていく可能性のある、自立能力と社会性を備えた人々と見受けられました。とはいえ、ボランティア初日ではまだまだ知り得ない、抗う術もない窮状や制度の歪みが存在することは想像に難くなく、今後も夜回り等を含めたボランティア参加を重ねることによって、問題への理解をもっと深める努力が必要と感じました。
幸い11月半ばの東京はまだ暖かく、うららかとも言える気候でしたが、木枯らしの季節は目前で、厳しい冬がすぐにやってきます。だれもが厳しい現実社会の中で生き抜いていることを、同じ立場で、同じ目線で、共有していけたらいいなと思いながら、この日のボランティア活動を終えました。
E.S.

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