11/23(土)炊き出しボランティア日記

1123()の炊き出しボランティアに参加させてもらって、昼間はご飯を作り、夜は雨の降る池袋の公園で温かい食事と衣服をホームレスの方に手渡してきました。

この日記では、以下の3点について体験を振り返ろうと思う。

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1.ボランティアは気軽に参加できる

2.必要なのは住む場所の支援

3.公園に集まったホームレスの方々は何を思っていたのだろうか

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1.ボランティアは気軽に参加できる

「ねぇ、炊き出しのボランティアをしてみようよ」そう誘われて参加したボランティア。

 最初はどんな人が参加しているのだろうかと不安でしたが、来てみると意外にも若い人、というか学生さんが多かったです。若者が支度をしている部屋の奥では、見るからにベテランと思われる方々が、既に準備を終えて料理の開始を待ち構えていました。

 ベテランさんたちの指示に従いながら、野菜を切り刻みました。求められているのは美味しく作る技術というより、大量の野菜をひたすら切ること。それもただ切るだけでなく、食べやすく切ることでした。「歯が強くない人もいるからね、キャベツなんかは芯の方ほど薄く切ってね」そう教えてくれたベテランのボランティアさん。聞けばもともと福祉の仕事をしていたわけでもなく、普通の専業主婦をされていたらしいです。「今まで家事しかしてこなかった自分でも、何か世のため人のために役に立てるのだろうかと。そう考えて、炊き出しをやってみようと思いました。」そうして最初のボランティアからほぼ毎回参加されて、すっかりベテランとして活躍されているとのこと。専門職のようなスキルがなくたって、こうして多くの人の命を支えることができるのだなと思いました。

 料理だけが炊き出しボランティアではありません。この日は寄付で集めた衣服をホームレスさんに配る日でもありました。大量に積まれた段ボールの中から、防寒着として使えるものを選別する作業もありました。「寒いから、暖かい服を持ってきてくれ、と頼まれてね」と代表。それで集められるのが凄いです。他にも大量のご飯を炊いたり、コーヒーを作ったり。寒い冬にはこういう暖かいものが求められるんだろうなと思いました。別部隊がカレーを作り、準備が整いました。


2.必要なのは住む場所の支援

 初参加のボランティアはお昼休憩の前に集められ、レクチャーの時間を貰いました。ホームレスとはどんな人たちなのか。ホームレスを取り巻く現状はどうなっているのか。何が課題なのか。TENOHASIはどんな活動をしているのか。などなど。

 教えてもらったことの中で、最も印象的だったのは、「家が足りない」ということでした。

 家を失った方々にとって、最も必要なものは住むところ。安心して過ごせる拠点が無ければ、何をするのも困難です。しかし、路上で生活する人々はなかなか自分の住居をもつことができない。なぜか。ホームレスはお金がないから、ではありません。生活保護を受ければ家賃は払えます。それではなぜ、家に住めないのか。

 理由は僕が思うに2つあります。一つ目は、そもそも生活保護を受ける難しさにあります。二つ目は、貧困ビジネスの存在です。詳しくは実際にレクチャーを受けてみてください。要は、社会からホームレスを体裁よく排除する仕組みができてしまっているのだと思います。実態はちゃんと調べなければ分かりませんが、レクチャーで聞いた限りではそうだと思いました。

 日本には空き家が大量に余っていて、オリンピックに投じる巨額の税金はあっても、社会で困っている人たちに分け与える家やお金はないということなのですね。ただ、仕組み的にこうなっているのなら、逆にちょっと枠組みを変えれば何とかなりそうな気もしなくはありません。


3.公園に集まったホームレスの方々は何を思っていたのだろうか

 準備が終わると、荷物をトラックに積んでボランティア参加者はバスや電車で池袋の公園に向かいました。日が暮れてふとテントの向こうに目をやれば、配布一時間前ぐらいの時間でもホームレスの方々が既に大勢並んでいました。

 配布が始まると、次々にホームレスの方々が食事を受け取りに流れてきました。

 途中から気が付いたのですが、ホームレスと一言に言っても、色々な人がいました。「ありがとう」と言って食事を受け取る人、黙って下を向きながら受け取る人、「少ないな」とつぶやいて受け取る人。実に様々でした。

 自分はどんな態度での場にいるべきなのか、迷いました。正直感謝をしてもらえたらうれしいし、逆に文句を言われたら悲しくなります。支援をしている、なんて思うのはおこがましいです。そうではなく、まあそれに近いのかもしれないけれど、食べ物やお茶を配り続けていて思ったのは、「社会はあなたを見捨てていない」、というメッセージを受け取ってもらえたらいいな、ということでした。

 ホームレスの方々の中には、望まずにホームレスになった人、現状を受け入れていない人、受け入れた人、逆に楽しんでいる人、など、いろんな方がいると思います。それぞれ、炊き出しに対して思うことは異なるのかもしれません。ただ、どんな状況の人であれ、「自分は社会に見捨てられた」とは思ってほしくないと感じました。社会は確かに冷たいかもしれない。けれど、この炊き出しの場のように、持ち物を分けてくれる人もたくさんいる。そんな社会との繋がりとしての炊き出しボランティアに、少しでも希望を持ってくれていたらいいなと思いました。

これから寒くなるこの季節。あの日出会った方々が、無事に過ごされていることを願うばかりです。

(M)

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