私は昨年11月に65歳となり、長年勤めた会社を退職しました。勤め先のある新橋駅の近くでは度々「ホームレス」の人を見かけていました。時々災害関連のボランティアには出かけていましたが、真冬のガード下で過ごしている人達の前では何も出来ないでいました。退職後の初めての大晦日、TENOHASIの炊き出しボランティアに参加させていただき、それからは予定が合えば出かけています。この日は6回目となりました。
当日の天気予報によると最高気温は28度。都内にある調理場に向かって最寄駅から歩く時、うっすらと汗がにじみました。11時にミーティング開始。この日の調理のメンバーは2名の初参加者を含め計16名。男女比はほぼ半々くらいでしょうか。連休明けは人数が多いという事で200人程を想定し、約31升、450食分以上のご飯を用意する事になりました。メニューは野菜たっぷりのスープをかけて食べる定番のぶっかけご飯。ちなみにまかないご飯はこれまた定番の焼きそば。釜場、切り方、米とぎ、洗い場に分かれて作業開始です。
この日私は釜場の担当。6 個のガスコンロが稼働する作業場は蒸し風呂状態です。ベテランさんが所用で遅れるという事で、あれこれ迷いながらも先輩方が作ってくれたメモや小道具で準備をすすめました。技術とノウハウの継承は本当に大切ですね。まかない休憩時間、ミーティングを経て16時過ぎにはスープも完成。コンテナに詰めてトラックへ積み込み、ドライバーのメンバーは会場の東池袋中央公園へ搬送。私は地下鉄で東池袋に移動しました。
↑室温30度!炊飯は記録をとって管理します。
↑今年初のアイスコーヒー(公園で提供します!!)
地下鉄東池袋駅から公園に行く通り道のサンシャインは大変な賑わい。翌日は母の日だったんですね。そしてこの日の東池袋中央公園ではなんとコスプレのイベントが開催されていました。公園は派手な衣装を着けた若者でいっぱい。
みんなそれぞれの人生を生き楽しみを持っています。ボランティアに参加はしなくても、SNSに投稿するために忙しく写真撮影をしている傍で、炊き出し列に並んで待っている人が大勢いる事を知ってほしい。8時から始まる配食の前に服や靴、石鹸などの生活物資の配布を行うのですが、服は1人1回に1点ずつという事で皆さん服選びも真剣。途中ルールを守れない人と制止しようとするスタッフの間で小さなトラブルが発生。人が相手だけに難しい!ドイツの放送局のカメラークルーが取材に来ていました。アメリカやフランスでも取材をして11月には放送されるとの事。一体どんな風に伝えてくれるのでしょうか。ドイツもホームレス状態の人は少なくないが、日本と違いお金を渡す人が多いとか。この違いがどこから来るのかも気になります。
↑ドイツの放送局から取材を受けました。
今回炊き出しの列に並んだ人は約200名。女性は数名。年齢は私の見た目では30代から70代くらいまで。きちんと上着を着た人や、勤め帰り風にしか見えない若い方も。食事は持ち帰り用のふりかけご飯を含めて480食分が提供されました。公園では医療相談、鍼灸もあり、生活相談で来られた方のお一人はその場でボランティアのスタッフが同行し警備の面接に向かわれました。大学生のボランティアも多く配食の現場での人手は充分でした。その後トラブルもなく19時過ぎに終了。私は数人のメンバーと一緒にタクシーで調理場に戻り、洗い物と施設をお借りしている方への挨拶を済ませたのは20時過ぎでした。
↑現状復帰のため公園の清掃。食べ残しやタバコの吸い殻が多いんです。
炊き出しにに集まる人達は将来というより明日、今夜どうするかという不安を抱えている方々。私はこれまでは家を失ったり、生活に大きな不安を感じた事はなかったけれど、これはたまたま色々な人に支えられてきた結果。この先もいつか住む場所を失う事があるかもしれません。とても他人事とは思えません。
TENOHASIは明日への不安を抱えた人達にとってなくてはならない大切な存在。しかしボランティアの活動は明るく楽しい場です。さすがに調理から最後の片付けまでフルだと疲れますが、体力に自信のない私でも活動出来ました。事務局長を始めベテランの皆さんのこれまでの積み重ねと楽しい雰囲気作りのおかげ。感謝しかありません。また来ます!
(担当JN)