私は以前からホームレス問題に関心があり、「ふとんで年越しプロジェクト」に寄付をしたり、新宿の路上生活者の方々の様子を学ぶ会に参加したりしていました。
昨年偶然、大晦日の炊き出しボランティア募集の情報をネットで発見し、こちらに参加申し込み致しました。そのときは、年末にもかかわらず、海外から一時帰国されている方や、台湾の方など多くの方が参加され、とてもにぎやかな調理場でした。
色々な方とお話しが出来て楽しかったのと、まかないが美味しかった♪のに味を占め、年が明けてからも参加して、現在に至っています。
さて、6/9(土)のメニューはカレーの提供があるとのことで、調理場ではご飯を炊くほか、人参、きゅうり、キャベツを刻む作業が待っていました。野菜スープのときと比べて作業が楽なせいか、参加者はいつもより少なめでした。
ただ、作業が楽とはいっても、煮込む料理は素手で食材を取り扱えるのに対し、野菜の付け合わせは火を通さないためビニール手袋をはめて作業するので、切るのにとても時間がかかります。
格闘していると、6月とはいうもののだんだん暑くなって来て、扇風機をつけていただき作業を進めましたが、真夏になったらどんな暑さになるのだろうと想像してしまいました。
ここのところ、参加するたびにカレーの日に当たっています。実は配食に参加したのは、大晦日の年越しそばのときだけです。皆さんがカレーがとても美味しいとおっしゃるので、次回メニューがカレーのときには、配食に参加して、カレーを味見させていただこうと思っています。
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ところで、話題は変わりますが、先日TENOHSHIさんのツイッターで、次のツイートが紹介されていました。
【世界の医療団】6月11日
「医療相談会、心臓の疾患を持つ40代の男性が西岡医師に会いにきました。昨年就職、心臓手術を受けたとのこと、現在は離職し路上で生活されています。身体の不調を感じ、とにかく相談したい、その一心で相談会に来てくれたのでした。西岡医師が駆けつけると、堰を切ったように泣く男性の姿がありました。」
このツイートを読み、思い出したのは『わたしは、ダニエル・ブレイク』という映画です。今年のカンヌ映画祭のパルムドール受賞作は是枝監督の「万引き家族」でしたが、2年前にパルムドールを受賞したのが、このイギリス映画です。
ストーリーは心臓病を患って、仕事を辞めるようにドクターストップがかかった59歳の主人公が、国の援助を受けようとしたものの、複雑で意地悪な制度により援助を受けられず、結局はまた仕事を探さざるを得なくなるというものです。
イギリスは「ゆりかごから墓場まで」と学校で習い、福祉の国と思っていましたが、現在は大違いで、福祉は大幅に切り捨てられているようです。映画の中の行政の対応は本当に冷たくて不親切ですが、最近の日本の状況を見ると、イギリスの後をしっかり追っているように見受けられます。
一方フィンランドではホームレスに国が恒久的に住める住宅を供給し、家賃の支払いは税金から充当しているそうです。そんな国を羨ましく思い、社会を変えたいと切実に思いますが、社会を変えるには時間がかかり、実際に困っている方々は待ったなしです。
今回のツイートを読みながら、「心臓の手術の後、離職して路上生活」という待ったなしの辛い状況の方が、医療相談の窓口にたどりついて本当によかったと思いました。
何年もの間、寒いときも暑いときも月に2回の炊き出しと生活・医療相談を行い、毎週夜回りを続けるのは、本当に大変なことだと思います。
自分ができるのは、せいぜい野菜を刻むことぐらいですが、時間が許せば今後も参加して、お手伝いできればと思っています。(栗原)