この冬も越年越冬活動が始まりました。
世間がクリスマスやお正月で華やぐ年末年始。
しかし、生活に困窮して蓄えを持てない方々にとっての年末年始は、日雇いなどの仕事が途切れて、役所も閉まり、北風の冷たさと世間の冷たさがいっそう身にしみる、1年で最も厳しい時期です。
せめてみんなで集まってあたたかいものでも食べて年越ししよう、と始まったのが越年越冬活動。
年越し派遣村が始まるずっと前から、全国の支援団体が取り組んできた活動で、池袋でも15年くらい前から始まりました。
TENOHASIは、この冬も12月29日から1月3日までの毎日、暖かい炊き出しを約200人分400食・寒さをしのぎ身ぎれい保つための衣類・熱いコーヒーや甘酒・クラッカーなどを配るとともに、医療相談や生活相談・鍼灸マッサージなどを行います。
今日はその初日。
いつものように11時にボランティアの皆さんが調理場所に集まり、炊き出し作りをはじめます。
今日の材料は鶏肉10キロ/ニンジン・タマネギ・ジャガイモ各20キロ/白菜・キャベツ各2ケース/大根1ケース/ついでにヤングコーンやブロッコリー・厚揚げなどその日に八百屋さんが見つくろって持ってきてくれた材料多数。うちの炊き出しは、普段の食生活で不足しがちな野菜をたくさん食べてもらうのが売りですから・・・
20名ほどのボランティアが、皮をむき、細かく刻んで下ごしらえをします。
ガレージに作られた厨房では、5升炊きの炊飯器3つを駆使して48リットル(約27升)の米を炊いて保温容器へ。
それが終わると、巨大寸胴4つにお湯を沸かして、固いものから火を通していきます。
味付けはだしの素1キロ/醤油10キロ/みりん4キロ/その他秘伝のレシピ。
炊き出し会場の東池袋中央公園では、16時から鍼灸マッサージ班が活動を開始。待っていた人たちが、こりや疲れを癒やします。
16時半からコーヒー配布。集まったのは30人ほどで、やはり越冬中は人が各地に分散するためいつもより少なめです。雨で地面が濡れていたので衣類配布は明日にしました。
17時からは、医療相談。40人あまりの皆さんが、ボランティア医師の診察を受けました。特に重篤な方はおらず、賑やかだけれど平和な医療相談でした。
同時に、新人ボランティアの皆さんのための「公園ツアー」。ホームレス問題について語りながら、各ブースを回ります。
炊き出しを求めて集まった方々は、約140人。
昨年とほぼ同じでした。
暖かい汁かけご飯は、米よりも野菜と肉が山盛り。ほとんどの人が2杯以上食べられます。
おかわりの時、「飯はいいから汁の具を大盛りにして」という方もたくさんいらして、「野菜を食べて~~」と声をかけているスタッフを喜ばせてくれました。
200人分用意しましたから、かなり残ってしまいました。
それでも汁は優先的に配ったので残りはたいしたことなく、3分の1くらい余ったご飯はパックに詰めてふりかけと漬け物を添え、約100パック皆さんにお配りしました。「冬は腐らないから明日の朝と昼に食べられる。ありがたいよ」と笑顔で言ってくださる方も。
最後に公園をきれいに掃除して、締めのミーティング。今日の配食数や医療相談・鍼灸マッサージ利用者数・ボランティア数と今後の予定について話し、新人の皆さんから感想をいただきました。この日の最年少は小学5年生男子。お母さんと一緒に参加。次は高校1年女子。大学生は多数。参加してくださったボランティアは合計50名あまり。
炊き出し終了後、初めての試みとして、希望者がカフェに集まっての「ボランティアお茶飲んで懇親会」を開きました。ボランティアの皆さんにTENOHASIから情報を提供するだけでは無くて、皆さんの思いをアウトプットして交流する機会を持ちたいからです。
話は炊き出しの手伝いをしてみての感想からはじまって、最後は資本主義社会の将来にまで及びました。
こういう生きづらい世の中で、路上に出ざるを得なかった人達が、TENOHASIに出会って、自分自身の人生を取り戻していく姿は、私たち自身の希望にもなることだよね、なんて話にもなりました。
いつもの越年越冬活動でいつもの炊き出しをしているだけなのですが、炊き出しに並ばれたお一人お一人のささやかな支えとなり、参加したボランティアの皆さんにとっても知らなかった世界に目を開くきっかけとなるように、心がけていきたいと思います。