江戸川寮からの追加報告

 私が江戸川寮に入所中の2月15日(木)、手の橋村の隣人K氏宅が、原因不明の出火により焼失した。私の段ボールハウスは、類焼は免れたものの、消火による水と消火剤の為に家は崩壊し、残してきた本や資料/書類類、衣類等は全滅したと思われる。レジ袋等に入っている一部の物は、水が入り込んでいなければ問題ないと思うが、池袋に戻ってから落ち着いて、一つ一つ確認をするつもりでいる。
大半の荷物は、江戸川寮入所の為に分散していて無事であった。
 出火原因は不明だが、隣人のK氏の話では屋根から燃え広がったとの事?しかし私がT氏と池袋に確認の為、朝の10時頃現場に行った時も、彼はかなり酒に酔っている様で、話の要領を得ない。要点だけを聞き出して、その場を離れた。
 しかしK氏が出火原因ではないと言う事になると、路上生活者に対する悪質な、差別的動機による放火とも考えられ、もしそうであるならば、看過出来ない重大な犯罪である。今後も同様の事件が、起こらないという保証は全くない。密集する段ボールハウスの村落に、火を放ったらどういう事になるかは言うまでもない。まさに「火を見るよりも明らか」である。消火が遅れていたら、人命が失われる可能性は充分にあった。
 この様な出火騒ぎがあると、一般的な社会の反応としては、被害者である住民の人権/人命よりも、その土地/施設等の管理者、周辺住民や企業などが、排除の論理にすり替えて逆利用する事も考えられる。「お前達がここに住み着いているから、こういう問題が起きるのだ!」と。そういう、論理のすり替えによる排除は、絶対にあってはならない事である。
 これで私は戻っても寝る場所を失った訳だが、元々何もないところからスタートした事を考えてみれば、何とかなると思っている。過去に越えてきた試練に較べれば、まだ小さき事と思いたい。しかし安定した居場所がなくなるとすれば、私個人のボランティア活動に与える影響は決して小さくはない。
 今回はたまたま、シェルターに入所している時に家が災害に遭い、自分の命と主要な持ち物は無事であった。そう考えれば、むしろ幸運であったのかもしれない。最悪でもこの身一つ残れば、未来は再び開けていくものと信じている。

(路上のコラムニストX)
 

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